扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

名古屋文学サロン月曜会[文学]

  • 2019年4月8日(月) 
  • 第12回 長編読書会『源氏物語』(最終回)

桜並木が美しい…はらりはらりと散り始める桜に「もののあはれ」を感じるのは今も昔も同じであろうか。
 

 

紫式部が書き上げた私と孫たちの物語54帖。
なんと1年かけて感想を語り合い、読み終えてくれた人たちで賑わっているらしいと風のたよりに聞きつけて現世に降りてきたのだが… 私かね?
私こそ「いづれの御ときにか」で始まる物語で、光る君と呼ばれた男である。
 

 

 

これを読書会、というのだね。薄暗い何やら趣のあるこの部屋に、一人、ふたり…なんと42人もおるではないか!
 
 

毎月顔を合わせているだけに、和気あいあいとにぎやかに語られているようだな。
最終回の今回、1か月で一気に読了して初めて参加した輩も?前回、前々回から参加の人もいると?なんとまぁ、嬉しい話じゃないか。
 

 
愛しい姫たちの名前を冠した6つの卓に分かれての語りに、ちょっと耳をそばだててみよう。

 

私も若い時代にはあれこれ浮名を流したものだから、最初の頃は不人気だったと?
まぁ、それも仕方なかろう。
 

 

今宵の語り合いは宇治十帖の最後の3帖のようだ。
薫は、清廉潔白にみえて案外うじうじとして思い切りが悪いところが…やはり誰に似たのやら… 少々不甲斐なく感じておったが、おや「シンパシーを感じる」という声も聞こえてくるではないか。

「大君にうり二つの浮舟を追う薫に『見た目は同じでも違うんだよ』と言ってやりたい。」
「薫は恩着せがましい、思考が浅い、身分コンプレックスがある、記憶の中にしか生きていない」
「彼の政治的立場や身分を考えると物事を冷静に見つめている点は好ましい、自分の立場をわきまえて女と接している。」

なかなか手厳しいことよ…そうか、今の世にわかるような言葉にしてくれた物書きたちの解釈によっても少しずつ違いがあるのだな。
 


 

物語の終焉で浮舟の選んだ道についても、いろいろ意見が交わされておるようだ。

「浮舟が出家をすると決めてからどんどん強くなっていった。人生を決められない女性が多い中、最後に主体性を持つのが他のヒロインと違っている。」
「すべて飲み込む紫の上と自立していく浮舟の対比が面白い」
「この円満じゃない終わり方が良かった。」
「明石の中宮から匂宮へのお小言が多いのは、父(光源氏)を見て育ち、回りの女性が泣いていたのを知っているので、父のようになってほしくないと思うからか。」

うっ…私が反面教師かね…顔隠す扇はどこじゃったかの…
 

 

ひとしきり語り終わったところで、今度は「ドレスコード」と騒いでおるぞ…
どうやらこの会には装束の遊びがあるらしい。
今宵のお題は「げんじものがたり」…まんまではないか(笑

六条御息所卓が騒がしいな…
えっ?姫…姫ではないか?かつて愛したあの姫にここで出会えるとは。
 
 

卓の対抗戦?卓で選ばれた人が他の人の小物も持って集まってきたようだ。
かつて頭中将と「絵合わせ」をしたことを思い出すが、今宵のみなからも気合が伝わってくるぞ。精巧な切り絵も出てくるわ、「光GENJI」と私には読めぬ文字で書かれた紙切れはあるわ、案内の世話役も声高になってきた…
 
 

藤壺卓の女人があいうえお作文を作ってくれたのか?
 
 

なんとしよう…目頭が熱くなってきた…
としみじみする間もなく、紹介しているこの女人の装束は…清少納言ではないか!

なんとまぁ個性豊かな人たちの集まりじゃ…
 

そして、これはなんだ?「登場人物人気投票」、それはやっぱり気になるね…
半年前にも同じことをしてくれたらしい。

どうやら、宇治の物語で孫の匂宮や、息子…まぁそういうことにしておいた薫の登場で、私の人気が相対的に浮上した? そうであろう。私は姫たちを最後までちゃんと面倒みてきたし、自分でいうのもナンだが、父桐壷帝のはからいで皇族から臣下に下げられたものの、大きな権力と才能をもち数多の姫や侍従に愛されて…いやいや、やはり自分で言うは面はゆいが、堂々の一位!とはまた嬉しや。


 
姫の中では女三宮のダメ出し票の多さよ…
あれには困ったものだったが、やはり1000年過ぎても気の毒な役回りであるな。

 
おお、読了を証する美しい書状が手渡されておる。
なに? 祝いの速文まで届いておるとは!
 
 
みな、読了できて満足そうじゃ。

12回皆勤で参加した人が16人も!
皆勤賞のくじを引いて何か小袋をもらっておるぞ。私のはないのか… いやいや、すでに物欲とは縁が切れておったのを忘れるところじゃった。
 

 

ん?奥の竈から何やら餅飯の香りが漂ってきた。
こ、これは赤飯というものか…私の時代には「小豆粥」しかなかったので、ちょっと美味しそうでうらやましいぞ。
 

 

わ、わ、私が薫を抱く絵柄が載ったこれは!甘味か!
因果応報の複雑な気持ちを後の絵師が上手いこと絵巻に描いてくれたものよ。あぁ、思い起こせば臓腑が痛む…
 

 

54帖を読み終わったお祝いに「桜花の宴」とは、なかなか粋ではないか。
頭中将と二人で青海波を踊ったり、若いものたちとの管弦の宴が懐かしく思い出される…
 


 
 
 

 

今宵集った人たちの言葉で桜の花も満開じゃ。
 
 

「この読書会で、皆で読んだから読了できた」という声がたくさん寄せられておるぞ。

今宵はまことに楽しそうで、美味しそうで嬉しい限り。いやはや、参加者も世話役の者どももみな上気した面持ちで、こちらまでのぼせてくるようじゃ。
現世でこんなにも盛り上がっておろうとは思いもせなんだ。佳きかな。よきかな。
ほんに紫式部は良い仕事をしたものじゃ。

さて、そろそろ夜桜を眺めながら帰るとしよう。私の不動の人気は、天上で待つ紫にも聞かせてやろうじゃないか。
それでは、また、物語の中でお会いしようぞ。
 

 

 

(サポーターより)
1年間のご参加ありがとうございました!
キャッチアップ読書会(最終回)はこちらで開催します。
このあとも、あれこれスピンオフ会を計画中。お楽しみに。

文:okko
写真:ゆうみ、ジャスミン。カノン、あきたま、あじさい

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