現代は、意識しなければ他者と深く出会う機会が失われていきやすい時代です。
自分と似た考えや心地よい情報に囲まれながら、他者と深く言葉を交わさなくても生きていける環境は、これからますます広がっていくでしょう。便利さが増す一方で、異なる誰かと出会い、違いに触れ、自分の前提を揺さぶられる機会は、意識して確保しなければ失われていきます。

そうした時代だからこそ、読書会には社会的な意味があると考えています。
同じ本を読んだ人どうしが集まり、その本について言葉を交わすこと。考え方や感じ方を無理に一つにそろえるのではなく、違いを違いのまま持ち寄って対話すること。そうした場を社会の中に持続的に確保していくことは、孤立や分断に抗うための、小さくても確かな実践だと思うのです。

読書は、本来、孤独な営みです。
ひとりで本を開き、ひとりで考え、ひとりで言葉を受け取る。私たちは、その時間の豊かさを大切な前提だと考えています。

だからこそ、月に一度だけ、その孤独な読書の外へ出てみる。
自分では手に取らなかったかもしれない本を読み、ふだんなら出会わなかったかもしれない人たちと、その本について言葉を交わす。違いを違いのまま持ち寄って対話する。
そのとき本は、ただ読むためのものではなく、人と出会い、自分の外にある世界へ触れ、自分ひとりでは辿り着けなかった場所へ連れていってくれる入口になります。私たちは、その「皆で読む読書」に、読書会ならではの可能性があると考えています。

この場は、一つの正解や結論に収斂していくことを目指す場ではありません。
同じ本を囲みながらも、世代や経験や感性の違いによって、自分ひとりでは出会えなかった読みや見方に出会うことができる。違いを恐れるのではなく、その違いの中にこそ、この場の豊かさがある。私たちは、そうした対話を大切にしたいと思っています。

月に一度でもいい。
本を入口に人と出会い、違う声に耳を傾け、自分の世界が少しだけ広がる。そんな時間を積み重ねていける読書会を、私たちはつくっていきます。

猫町. 代表    山本多津也